チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

20年来の大気汚染

 

煙害の写真は気が滅入るので、代わりに花祭りから

花祭りから

同上

同上

同上

同上

 


20年来の大気汚染

■危険レベルをはるかに越える
今年の北タイはここ20年では最悪の大気汚染に見舞われている。大陸からの冷たい高気圧が上空を覆い、本来であれば上昇気流で拡散される微粒子状物質PM2.5 が高気圧で抑え込まれ、地上付近に滞留しているからという。汚染の度合いはAQIという指数で発表される。AQI100以下であれば特に健康に問題はない。AQI100-150で「心臓・肺疾患患者、高齢者及び子供は、長時間又は激しい屋外活動を減少」する必要がある。AQI 150-200 、201-300、と危険度が上がってきて、AQI300以上となると、「患者、老人、子供は屋内にとどまり、すべての者は屋外活動を中止」という危険レベルになる。

3月末から4月初にかけてチェンライはAQI300を越える日が続いた。自分の住む地区では500を越えたこともある。1日中、うすぼんやりとして視界が悪い。チェンマイではAQIが高いせいでスーパーやレストランは客が激減したそうだ。チェンライでも走る車が少ないし、タイ中部や南部に避難した人もいる。テニスコートにタイ人が来ないので、自分もAQI300を越えた日はコートに行かなかった。病院には気管支をやられたというタイ人が詰めかけているという話を聞いたが、自分はちょっと喉がいがらっぽい程度で息をするに支障はない。テニスをやりたい気持ちはやまやまではあるが、曲がりなりにも循環器に疾患を持つ後期高齢者、「浜までは海女も蓑着る時雨かな」という古句もある。AQIと健康影響に関する米国指針に従って、屋内にとどまって体力の消耗を防いでいる所である。

■ロンドンスモッグ事件
大気汚染といえば1952年のロンドンスモッグ事件が有名である。以下ウィキからの引用。


ロンドンは冬に濃い霧が発生することで知られているが、19世紀以降の産業革命と石炭燃料の利用により、石炭を燃やした後の煙やすすが霧に混じって地表に滞留し、スモッグと呼ばれる現象を引き起こして呼吸器疾患など多くの健康被害を出していた。1950年代までの100年間に10回ほどの大きなスモッグがあったが、その中でもっとも健康被害が大きくなったのが1952年である。

1952年12月5日から12月10日の間、高気圧がイギリス上空を覆い、上空は無風状態となり、冷たい霧がロンドンを覆った[1]。あまりの寒さにロンドン市民は通常より多くの石炭を暖房に使った。同じ頃、ロンドンの地上交通を路面電車からディーゼルバスに転換する事業が完了したばかりだった。こうして暖房器具や火力発電所ディーゼル車などから発生した亜硫酸ガス(二酸化硫黄)などの大気汚染物質は冷たい大気の層に閉じ込められ、滞留し濃縮されてpH2ともいわれる強酸性の高濃度の硫酸の霧を形成した。
亜硫酸ガスのピーク濃度は、平常時に0.1ppm程度だったものが0.7ppm、浮遊煤塵の量は平常時に0.2mg/m3だったものが1.7mg/m3を超えていた[2]。

この濃いスモッグは、前方が見えず運転ができないほどのものだった。特にロンドン東部の工業地帯・港湾地帯では自分の足元も見えないほどの濃さだった。建物内にまでスモッグが侵入し、コンサート会場や映画館では「舞台やスクリーンが見えない」との理由で上演や上映が中止された。同様に多くの家にもスモッグは侵入していた。

人々は目が痛み、のどや鼻を痛め咳が止まらなくなった。大スモッグの次の週までに、病院では気管支炎、気管支肺炎、心臓病などの重い患者が次々に運び込まれ、普段の冬より4,000人も多くの人が死んだことが明らかになった[3]。その多くは老人や子供や慢性疾患の患者であった。その後の数週間でさらに8,000人が死亡し、合計死者数は12,000人を超える大惨事となった。(引用終り)

■ロンドン、チェンライの違い
石炭燃焼から出てくる強酸性の硫酸を吸っていたため、ロンドン市民は気管支や肺が損傷を受けた。当時は栄養状態もそれほど良くなかったと思われるので、体力のない老人、子供が犠牲になったのだろう。北タイの大気汚染は世界最悪のレベルと言われているが、化学物質が少ないせいか、栄養状態がいいせいか、PM2.5 による直接的な死亡事例は報告されていない。

それよりも暑季の気候で気温が39度、40度と上がることの方が辛い。体温以上に気温が上がるとベッド、机、パソコンなど手に触れるものがすべて暖かく感じる。部屋の中でいちばん温度が低い場所は自分がさっきまで座っていた場所である。小学生の時、「中東のバスで一番涼しい席は、人が立ったばかりの席です」という記述を読んで吃驚した記憶がある。それを自分が体験するとは思ってもみなかった。大気汚染より熱中症に気を付けなければならない。

それにしてもPM 2.5 を洗い流し、涼気をもたらすスコールの到来が待ち遠しい。