チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

スイカとバナナ

イカ屋、手前の袋は5個入りで100B

大きい方が甘い

ほっそりしたクルアイ・ホーム

クルアイ・ワーン、最もポピュラーなバナナ

クルアイ・ニムムーナン

一房10B(40円)でも味は変わらない

 

イカとバナナ
■果実的野菜
常夏のチェンライではあるが盛りとなる果物で季節を感じる。ライチは5,6月の暑季の間だけ、ラムヤイは7月から8月にかけて市場に溢れて消える。マンゴーの旬は4月から5月である。最近は流通が整備され、保管方法も改善されたのか、ドリアンやマンゴーは年間を通して市場で見かけるようになった。でも旬の時期に比べるといくらか値段が張る。

年間を通して潤沢に出回っていて、値段も変わらない果物はスイカとバナナである。スイカとバナナは木に生るわけではない。スイカはキュウリと同じく蔓が出る1年生の植物だ。バナナも草の親分のような年輪のない葉の集まりから実る。だからスイカもバナナも植物学上は野菜に分類される。草に生る野菜であるが果物として食べられている、スーパーでも果物売り場に置かれているなどの理由で正式には「果実的野菜」と言う区分になるとのこと。

我が家ではスイカとバナナが切れることはない。(他にビールとラオカオも切らしたことはない)ラグビーボール大のスイカは概ね1個200円くらい、バナナは種類にもよるが野球のグラブのような一房が40円から150円くらいである。

イカは運動で汗をかいた後とか暑い時期には必須である。スイカには腎臓の働きを良くするカリウム、血流をアップし、動脈硬化を予防するシトルリンというアミノ酸が含まれている。冠状動脈にステントが入っている自分にとってはスイカが毎日食べられることはありがたい。

■種類が多い
バナナも年間を通して卓上にある。バナナには恩義がある。母は毎食、3本のバナナを摂っていた。手で潰したバナナをブアさんが匙に載せて母の口に運んでいた。365日X3本X3食X約10年で計算すると母は3万本のバナナを食べたことになる。バナナのお陰で長く生きられた。母の食べていたバナナはクルアイ・ウァーンという多少酸味があるずんぐりむっくりしたバナナである。このバナナは老人向きという。クルアイ・ホームと呼ばれる香りのいいバナナは体が熱くなるので老人より若い人向きという。

他に台湾バナナに似たクルアイ・ニウムーナン、実が黄色がかったクルアイ・カイなどがある。見て名前がわかるバナナはこれくらいだが、世界には300種類のバナナがあり、タイには数十種類のバナナが栽培されているとか。バナナに種があるというと皆驚くが自分も初めてバナナの種にあたった時はビックリした。数珠玉を小さくした黒くて固い種がガチッと歯にあたった時は「しまった、歯が欠けた」と思った。以前、外れた差し歯を噛んだ経験がありちょっと焦ったものだ。
タイ人に聞くと種のあるバナナは原種に近いとか。また熟れても皮が褐色とか黒色のバナナがあってこれも原種に近いという。黒いバナナを見たことはあるが食べたことはない。

タイでは離乳食はバナナ、歯のない老人の食事もバナナ、ゆりかごから墓場までバナナのお世話になる。自分もボケたら誰かに匙でバナナを食べさせてもらうことになる。寝たきりになってもバナナで5年はいけるかもしれないが、なんとなく気が滅入る。

■差し入れはバナナ
母がお世話になったバナナだからというわけではないが、食卓に載っているバナナはクルアイ・ウァーン種が多い。食べるたびに母のことを思い出す。バナナもスイカに劣らず体にいい。バナナ1本にはりんご3個分のカリウム、キーウィ3個分のマグネシウム、ニンジン 1/2本分のビタミンB2、納豆3パック分のビタミンB6、ピーマン3個分の葉酸、板チョコ1枚分のポリフェノールが含まれている。

バナナは消化が良く、すぐにエネルギー源に分解されるため、持久力がアップするそうだ。バナナには筋肉の収縮をサポートしてくれるカリウムや、疲労回復やスタミナアップの効果があるとされるビタミン群が豊富で、運動の後、運動をする前などに口にするのに適している。

4月、6月にチェンライでITFのテニストーナメントが開催された。試合の始まる前、また試合途中の休憩時間にバナナを食べている選手は少なくなかった。テニス仲間のタイ人がバナナを一房くれたので応援席にいた日本コーチに進呈した。後日、女子選手から「おいしいバナナをたくさんに有難うございました」とお礼を言われ恐縮した。日本では売っていない芳香を持つクルアイ・ホームだったせいかもしれない。

余りにも安くて失礼だと思ってバナナの差し入れはしなかったが、次回のトーナメントでは各種バナナを提供して喜んでもらおうと思っている。チェンライのバナナおじさんとして有名になるかもしれない。