パヤオ湖の夕暮れ
同上
夜市が開かれていた
寿司はどこでも人気
アボガド
シャインマスカット、中国産
種や苗木が同じでも
■出安居
10月10日は日本もタイも国民の休日だった。日本はスポーツの日、1964年の東京オリンピック開催を記念して制定された国民の祝日だ。2000年と2001年は東京オリンピックに合わせ、スポーツの日が7月に移動していた。今年から10月の第2月曜に戻ってきた。
タイの10月10日はオークパンサー(出安居)の祝日だった。出安居とは 旧暦8月の満月の「カオパンサー(入安居)」から3か月間、寺に籠って厳しい修行をしてきた僧侶達が修行を終える日で、仏歴上の雨季開けを意味 する。10日がちょうど旧暦11月の満月にあたっていた。この日は酒類の販売、提供が禁止されるので休業する飲食店が多い。
日本では体を動かしたあとビールを一杯、タイではアルコール抜きの1日となる。ともあれ、暦の上ではタイは雨季明けとなるのだが、本当に乾季と感じるのは11月満月の日、ロイクラトンを過ぎてから、とタイ人は言う。
チェンライの10月10日は降雨のため、テニスができなかった。でもその後、雨は降らないのでずっと週5日のテニスができる。暦通りの雨季明けか。最低気温が20度を下回り、風速4,5メートルほどのひんやりした風が吹く。タイに秋はないけれども、風の音にぞ驚かれぬるの気分を味わっている。そろそろ市場ではミカンが並び始めた。マンゴーはもうない。ここ1月出盛りだった釈迦頭(バンレイシ)もロンコンも来月にはなくなる。常夏の国ではあるが果物で季節を感じる。
■栽培技術確立は韓国?
チェンライでシャインマスカットを食べた。多分中国から入ってきたのだろう。美味しかったが日本産と比べて、というほど高級ブドウを食べていないのでその差はわからない。シャインマスカットは日本が生んだブドウの最高級品であるが、中国や韓国に苗木が持ち出されて、中韓が今やシャインマスカットの主要輸出国となっている。日本が被った損失は農水省試算で年間100億円以上とか。
シャインマスカットについてこのような報道もある。コリア・エコノミクスからの引用。
韓国の老舗ニュースメディアであるYTNは19日、シャインマスカットの栽培が盛んな慶尚北道金泉を取材し、かつて巨峰やキャンベル品種が多かったものの、その圧倒的な利益差から果樹農家がこぞってシャインマスカットの栽培に移行したと報じた。
YTNの取材に対し栽培農家は、シャインマスカットの栽培で所得が「2倍近く増えましたね」とし、地域農家の「80%ほどが(シャインマスカット栽培に)変わりました」と答えている。
YTNのリポーターは、「最初に品種開発したのは日本でしたが、栽培技術が難しく、日本が品種登録をあきらめたシャインマスカット」とし、「その間、韓国が栽培と品質管理技術を確立したのです」と説明した。YTNの説明は、これまでの日韓の関連報道では見られなかったものある。韓国産シャインマスカットの「オリジナリティ」を強調したかったようにも解釈できるが、具体的な内容なり根拠などは報じていない。(引用終り)
■品質管理
爆発的にシャインマスカットの栽培面積が増えた中国、韓国であるが、最近のニュースを見ると、これまでのような利益は享受できなくなってきたようだ。それは供給過剰による値崩れもあるが、どうしても品質が日本産に追いつけないことが挙げられる。
農産物は土、肥料、摘果、水やりなど気を遣うことが多いが、ブドウは日中の気温差が糖度に大きく影響する。韓国のシャインマスカットは皮が厚く、甘くないというのだ。
やはり本家本元の気候、土、農家の努力でしか作れない何かがあるのだろう。高級品は日本、普及品は中韓でという分業、棲み分けがブドウでも起こるかもしれない。
農業は気候がいいからいいものができるとは限らない。日本の高級京野菜をチェンライで栽培、輸出できないか、という話があったが、こちらの土では、またこちらの農民では同じものはできない、と断言できる。
チェンライで牛蒡、大根、日本キュウリなどが販売されているが、見た目はともかく、味はいまいちだ。家に三つ葉が生えているがちょっと固いし、香りも少ない。種は日本製でもタイで撒けば何となくタイ風に育つと見える。日本の味に近い野菜もできると思うが、常に一定の品質、味を持つ野菜が供給される保証はない。
そう考えると日本の果物、野菜には「ハズレ」がないことに気付く。タイでは熟れないまま腐るアボガドや中身が白いスイカにあたることがある。日本では品質管理が工業製品ばかりでなく農水産物にもきっちり行われている。日本と中、韓、タイとの差はここにあるのではないか。