チェンマイを囲む堀
同上
同上
ノーヘル、3人乗りはごく普通
流しのタクシー
夜のターペー門
統計と感染症
■マスク
タイでは2020年3月以来、非常事態宣言がずっと発令されている。
これまで18回延長されてきた。2022年7月31日までの非常事態宣言は、8月1日から9月30日まで2ヶ月延長されることが官報掲載により正式決定した。これが19回目の延長となる。非常事態宣言といってもすでに、外人観光客の入国はほぼ無条件で認められているし、パブやバーの営業時間制限も無くなっている。6月からは感染者、濃厚接触者を除き、マスクの着用義務が無くなった。それまではマスクをしていないと逮捕される可能性があったらしい。
非常事態宣言は継続発令中ではあるが、日常生活にはほぼ影響がなくなっている。でも市場やスーパーではマスクの着用率はほぼ100%だ。
フェースブックのユーザが行ったマスク着用の有無についての報告にもとづくマスク着用率の各国比較(図録▽マスク着用率の国際比較 (sakura.ne.jp))によると、日本と韓国はマスク着用率が最も高い国にランクされており、デンマーク、オランダ、オーストラリアといった国では着用が遅れ、水準も高くなく、やめるのも早い。今年のデータはないが、現在の欧州各国のマスク着用率はゼロに近いのではないか。
着用義務がなくなったにもかかわらず、タイも日本同様マスク着用の人が多い。セブンイレブンではマスクをしていないと入店を断られる。日本とタイ、どちらが早くマスク着用をやめるのだろうか。
■病床数は充分あるはずだが
タイではオミクロンに感染して、病院に行ってもせいぜい熱冷ましの薬が処方されるだけ。外人ならばさらに高額の薬を処方される。別に死ぬわけでもないし、と家に1週間籠っている人が多い。感染者イコール患者ではないから、タイ政府は感染者数を正確には把握していない、いや把握する意思がないというところだろう。
日本はとにかく無料のPCR検査で陽性者(感染者)を見つけることに躍起となっている。陽性でも発症していない人が9割という。熱も咳もないのに自宅待機となる。本当に経済を回そうとしているのだろうか。運悪く発症し、熱が出ても普通の病院では診てもらえない。専門病院に行くために救急車を呼ぶ。そのため救急隊員は休む暇がない。
病床逼迫というが、OECDの病床数データ(図録▽病床数の国際比較 (sakura.ne.jp))によるとOECD諸国の中で、日本は人口千人当たり、世界一のベッド数を誇る。それなのにオミクロン患者は入院先がなく病院をたらいまわしされる。これは一部病院しか患者を受け入れないシステム、つまり、感染症が2類相当になっており、普通の風邪相当の5類となっていないからだ。でも5類相当となると、PCR検査は自己負担、1回2万円かかるという。陽性だろうと陰性だろうと、またワクチンを打っていても発症とは無関係なのだから、無駄な検査をする人がいなくなる。ついでにワクチンもそれほど効果がないならやめとこう、という人も出るだろう。
ワクチンもPCR検査も国費で賄われている。自分の懐が痛まないので気軽に何度でも受ける。自己負担にする方が全体の支出は減るのではないか。
■統計は嘘をつく
原稿に詰まると「社会実状データ図録」(社会実情データ図録 Honkawa Data Tribune (sakura.ne.jp))を眺める。金融財政、科学技術、健康、社会保障、人口・高齢化、教育・文化・スポーツなど世の中のあらゆる事柄の統計が出ている。
中には「美男美女自慢の都道府県ランキング」、「下層意識を抱く年代別割合の推移」、「永井荷風の房事回数の年次推移」、「時事トピックス:ワクチン接種が進んでいる国ほど感染者数が拡大する傾向」といったものがある。
ある統計をじっと眺めて、関連するデータ、事象をネット検索すれば誰でも原稿が書けると思う。でも統計がいつも正しいとは限らない。例えば、交通事故死の多い国という統計がある。でも国によっては事故死の定義が違う。事故直後に死亡が確認されたら事故死、病院搬送後3日以内に死亡したならば事故死と数える場合、当然後者の数字が高く出る。それに基本となる数字が集められない国がある。ラオス、カンボジア、中国では武漢肺炎感染者の数は不明である。数える役人も意思もない。
明治時代の日本は欧米に比べ、死刑の執行数が多い国だった。開国して欧米の基準に合わせようと日本の役所はこのような数字をきっちりと出したのだろう。でもその当時の米国は誰かが「あの黒人はレイプ犯だ」と叫べば簡単にリンチが行われていた。この死刑は統計には出てこない。
統計はウソをつくと言われるが、感染症の統計もどれだけ正しいかわからない。正しいにしても今、感染者数を発表する意味がわからない。