チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

北タイ2泊の旅

 

 

ランパンの市場

同上、おかず売り場、どこの市場も同じ

ハリプンチャイ王国の仏頭

ハリプンチャイのあとのランナー仏

ランプンの寿司屋台

エビ、サーモン、飛子は一貫10B

 

北タイ2泊の旅


■出かけたくなる
チェンライに戻って半年、ビザや運転免許の取り直し、更新などで何かと気忙しく、海外も国内も旅していなかった。それに4月は世界テニストーナメントに日参していたため、旅行はおろか、かけ流しの温泉、家でのタイマッサージもご無沙汰していた。5月に入り、漸く平穏な日々が続いた。こうなると何か生活に変化が欲しくなる。暑季から雨季へと季節が移っているのか天気予報に雨傘マークがつく日が多い。テニスもできないんじゃどこかへ出かけるか。といっても雨合羽を着てスクータを走らせる元気がない。カリビアンでどこかへ行こう。

通常、旅行するときは行き先を決め、ホテルを予約し、食事、訪問先をネットで調べる、が基本だ。でも、まだ観光客はタイに戻っていない。どこも空いている。ホテル予約は必要ない。とにかく出かけて、日常とは少し変わった気持ちになりたい。
金曜、テニスから帰って、シャワーを浴びたあと、着替えとPCをリュックに詰める。ニイさんに1,2日帰ってこないから、と言って家を出る。カリビアンは1989年製造、つまり33年落ちの車であるからいくらかの不安はある。でもチェンライに戻って以来、日常の足はカリビである。北タイ辺り、数百キロのドライブなら問題はないはずだ。

■ランパーンへ
まず、チェンライから北へ100キロ、パヤオに行く。パヤオにはKさんがいる。彼は元陸自のレンジャー隊員、70を過ぎても精悍な風貌と鍛えた体を持っている。10年ほど米作りをやっていたが、いくら美味しい米を作っても評価されないという理由で農作業は中止した。彼と会うのは3年ぶりだ。今年も半分近く過ぎているが、みやげの日本製カレンダーを喜んでくれた。彼のことは何度かブログに書いたことがある。一本気で誠実、人間としての品格が高い。

2時間ほどお邪魔して、パヤオから150キロほど離れたランパーンへ行く。ランパーンはハリプンチャイ王国の副都が置かれた古都である。古寺はいくつもあるが、中でもワット・プラテート・ランパン・ルアンは北タイでいちばん美しい寺院と言われている。タイのお寺は12支に因んでいる。このお寺は母の干支、丑年生まれ人の守護寺となっているので、母の生前に何度もタンブンに行ったものだ。

ランパーン名物といえば花馬車、20世紀初頭、ランパーンの王様が西欧の馬車を導入したのが始まりとされ、南国らしく色とりどりの花を飾りつけ、王朝時代の優雅さを再現した観光馬車だ。ところが以前は市内を走り回っていた馬車が完全に姿を消している。定宿の周りにあったいくつかのレストランは閉店となっていた。感染症の影響はここにも。近くの市場の屋台で焼き鳥やサラパオ(饅頭)を買って帰る。ライチが出盛りで1キロ20B、ライチでお腹が一杯になってしまった。ライチが市場に出回るのはせいぜい2週間、食べられるうちに食べないと季節が過ぎる。

■ハリプンチャイの文化に驚愕
翌日はナーン方面に行こうと思っていたが、道を間違ってナーンからは遠ざかってしまった。ままよ、と11号線をチェンマイ方面に走り、手前のランプーンに行くことにした。ランプーンはチェンマイから車で30分、工業団地があり、進出日系企業は40社を数えるとか。ランプーンには数年前、旅行の途中、疲れたので1泊したことがあるだけで、馴染みはなかった。でもこの地には7世紀にハリプンチャイ王国というモン族の国が興り、13世紀にランナー王国に滅ぼされるまで数百年の栄華を誇った。

ワット・プラタート・ハリプンチャイという古刹に近いホテルに投宿し、その足でお寺へ向かう。ハリプンチャイ寺はタイの一級寺院、9世紀に建立された仏塔には釈迦の聖髪が納められているという。丁度、佛誕節に当たっていたせいで、金色の仏塔の周りを聖水、花をまきながら時計回りに歩く老若男女で賑わっていた。寺院の周りには縁日の屋台が出店しており、日本寿司の屋台も2つあった。一貫5Bから10B、パック入り寿司セットは100B(350円)ほど。

もとは寺の境内にあったというハリプンチャイ国立博物館を訪れる。モン族はタイ、ミャンマーラオスベトナムなどに住む140万ほどの少数民族となっているが、古代より東南アジアにクメールに劣らぬ高い文化を持つ国を建てていた。展示されている11,12世紀の仏頭、彫刻の精密さはとてもランナー仏の及ぶところではない。またクメールに占領されていた頃の仏頭には明らかにアンコールワット、クメール仏の影響がある。北タイに住んで10年経つのにまだたくさん知らないことがある。犬も歩けば、ではないが出かけることは必要だ。