チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

日本米は美味しい

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昨秋の日展から

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同上

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同上

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同上

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西欧の母子か

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ぬいぐるみに伸ばした手に視線が行く仕組み



日本米は美味しい

■日本米
日本にいた時、十数年前と比べ、お米のご飯が美味しくなっていることに気付いた。親戚に新潟の人がいて、飛び切りの新潟産の米を融通してもらっていたから、自分だけ特別に恵まれていたのかと思ったがそうでもない。近くの弁当屋で買った弁当のご飯も美味しい。一度、スーパーでホカ弁を買ったことがあるが、やはりご飯が美味しい。タイでも日本米と称する米を精米所で購入していたが、日本で食べるお米とは旨味、甘味、粘り、香り、あらゆる点で格差を感じる。

昭和46年から米の食味官能試験という試験が日本穀物検定協会で行われている。産地ごとに「香り・外観・味・粘り・硬さ」に「総合評価」を加えた6項目において優劣を評価しランク付けしている。この試験で米は特AからB’の5ランクに分けられる。特Aに選ばれた米には、北海道のこめぴりか、山形県つや姫新潟県魚沼のコシヒカリ、秋田南のあきたこまち岩手県南のひとめぼれ、山形県はえぬき、熊本県城北のヒノヒカリなどがあり、いわゆる銘柄米が目立つ。

こめぴりか、つや姫は比較的最近に開発された米で掛け合わせ、品種改良が日進月歩で進んでいることがわかる。コメの味は品種ばかりでなく、精米法、炊飯器によっても左右される。日本の炊飯器は中国では作れないそうだ。美味しくご飯を炊くための何十年にもわたって開発改良された技術が一つの炊飯器に込められている。

また最近は米粒が大きくなっている。粒が大きいと茶わんによそったご飯の間の空気が増えて美味しく感じるとか。ご飯を美味しくするための絶え間ない努力が今も続いているわけだ。

■日本米が増えた
チェンライに来た頃、日本米はチェンマイにある日本食専門のスーパーで売っていた。チェンライで日本米を栽培、精米している邦人がいて、そこの米も買っていた。タイ米に比べ日本米の栽培には手が掛かり、少々高く売れてもタイ農家は作りたがらない、と聞いていた。つまり日本米は希少品の扱いだった。

ところが今回、帰ってみたら、チェンライのスーパーで数種類の日本米が販売されていた。寿司米、あきたこまちコシヒカリなどと袋に書いてある。値段は5キロで600円から750円ほど。
コシヒカリ(5キロ750円)を買った。これまで近くの精米所でカオ・イープン(日本米)を買っていたが、その米に比べると確かに美味しい。親戚から送ってもらっていた新潟産の米に比べることは土台、ムリだが曲がりなりにもタイでコシヒカリが食べられるのだから満足すべきだろう。

■ウズでもご飯を
ウズベクにいた時、JICAのタシケント事務所長が、協力隊員、SVを前にして、ウズでは日本米が食べられるだけでもありがたいと思わないといけませんと話していた。日本米はもちろん、キムチや豆腐も市場で売っていた。というのは1930年代に、日本との闘い必至とみていたスターリン沿海州にいた朝鮮人約18万人を片っ端から捕まえて、ウズベキスタンカザフスタン中央アジア強制移住させたからだ。6500キロ、シベリア鉄道での移動は苛酷で、貨車からポンポンと遺体が捨てられたという。

ウズにはその子孫、約20万人が居住している。もともと、農民だった人が多かったので、酷寒猛暑のウズにおいても米作をつづけ、そのお陰でウズの在留邦人はお米のご飯を食べられる、というわけだ。味はどうだったかというと、他の発展途上国に赴任した仲間に比べ、お米が食べられると思うだけで美味しく感じていたと思う。思えば有難いことに海外生活を含め、米の飯は常に自分についてまわってきた。

■総合技術の芸術品
コシヒカリ一つとっても魚沼産に負けない美味しいコシヒカリを作ろうと日本各地で農業試験所、農家が水やり、施肥、潘種時期の選定など切磋琢磨の努力を続けている。コシヒカリを親にした品種改良も盛んだ。精米機、精米技術、炊飯方法の改良、あらゆる技術が結集した芸術品が日本のご飯だ。家庭の主婦だって、水加減、蒸らし方などこの芸術に参加する余地がある。

タイでも日本米の作付け面積は増えているし、中国の富裕層は日本米を輸入して食べている。米は日本の立派な輸出品となっている。国内だけでなく、世界中の米を対象とした食味官能試験が行われるようになっても、銘柄だけでなく、精米、炊飯技術を含めた総合技術力で、上位をすべて日本産米で占めることは間違いないと思う。タイ産の日本米も美味しくなってはいるが、技術は一朝一夕で移転できるものではない。