チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

チェンライに戻って

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見た目新品のカリビアン、修理後はよく走る

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ランムアン市場 おかずアーケード

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おかず

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寿司、1個5-10バーツ

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携帯で支払い中、現金は要らない

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QRコードを読み込む。



チェンライに戻って


■まず車の世話から
チェンライに戻ってほぼひと月が過ぎようとしている。久しぶりに戻れば家にはやるべきことが山積している。先ず暫く乗らなかった車の世話、2カ月前に兄がこの家を出た時に、バッテリーは外してあったが、車は置きっぱなしである。バッテリーをつないだ後、シティ、シビックにガソリンを入れ、タイヤの空気を補充した。2カ月だけだが結構空気量が減っていた。

1989年製のカリビアンはエンジンはかかるもののギヤをバックに入れるとエンジンがストップする。修理屋のチャンシーさんに来てもらった。二人で車を押して外に出す。チャンシーさんがローギアに入れ、ガックンガックンと不自然な動きの車を工場に持って行った。その後、治ったというので取りに行き、その足でガス・スタンドに行きLPGを満タンにした。ところがエンジンがかからない。チャンシーさんに電話すると、LPGでなくガソリンで走れ、という。ガス・スタンドから10mほど離れた雑貨屋でウィスキー瓶、2本分のガソリンを購入、ガソリンだとエンジンがかかる。なんとか家に戻った。見分に来たチャンシーさんはガス供給装置がいかれている、これも交換だね。何せ30年以上前のクラシックカーだから修理費用がかさむのは仕方ない。

これまでにエンジン、ラジエータクラッチ、ブレーキ周り、ガスタンク、主要部品は殆ど取り換えている。人間でいったら全臓器移植を受けているようなものだ。今回の2回にわたる大修理の費用は1万5千円くらいだったから、趣味で乗るにしては安上がり、というべきか。
不在中、友人が代わりにカリビに乗ってくれていた。地面が見える底板、腐食したドアなど友人があんまりだ、と取り換え作業を行った。臓器移植だけでなく整形手術も終わっていて見た目、新車である。5段変速、4WDのカリビは乗っていて味がある。あと10万キロはいけるのではないか。

■情弱では給付受けられず
家から1キロほど先にランムアン市場がある。本来は青果卸売市場であるが広い市場の一角に生鮮食料品売り場がある。タイの人は家で料理しないのが普通、おかずやご飯、麺類などの露店が左右に100mほど続いている。焼鳥、焼きそば、焼き魚、カレー、炒めもの お寿司など何でも揃う。この市場にも武漢肺炎の感染者が出て、何度か閉鎖されたそうだ。ここにブアさんと食料品やおかずを買いに行く。代金はもちろん自分が払うのであるが、支払い方がなんかおかしい。八百屋のおねえさんが電話を出し、ブアさんも電話を出す。画面にはQRコードが出ていてそれを写している。

これはバット・コンジョン(貧乏人カード)といって、タイ全国に1450万人いるとされる年収10万バーツ以下の低所得者層に対し、毎月1,500バーツを給付するというもの。ブアさんはまず政府の口座から半額を店に払い、残り半額を自分の銀行口座から支払う。この2つの作業を携帯で行うのである。ペイペイさえ使えない自分から見れば驚嘆の一語に尽きる。1,500バーツを月内に使い切らなければ残りは無効となるそうだ。これならばなんとかして使おうとするし、消費支出も増える。携帯を持っていない貧乏人は何かほかの支援があると聞くがまず携帯をもっていて使いこなせないと給付が受けられないシステムである。

個人消費を押し上げるには
日本でこんなことやったら、公平でないとか弱者切り捨てだとか大騒ぎになると思うが、この程度の自助努力は必要ではないのか。余りにも公平、公正、正確にこだわると、支援物資は山ほどありながら、「公平に配ることができない」といって被災者に渡さなかった阪神淡路大震災の時の自治体のようになってしまう。

タイでは国民の9割以上が何らかの給付金補助制度の恩恵に浴することができる。基本はバット・コンジョンと同じく、使わないと給付が受けられないシステムだ。個人消費が増えなければ景気は良くならない。この点、タイ政府は使わないと損するよ、といった個人消費刺激策をとっている。

日本の景気が上向かない最大の理由は個人消費が低迷していることにある。18歳以下の国民に対する一律10万円の給付はないよりはいいと思うけれど、出るタイミングが遅く、それも2回に分けて、と何かやり方がしょぼいので有難みがない。それに幼児や小学生の親にすれば給付金は子供の将来のため、と取り敢えず預金してしまうのではないか。つまり給付金が100%、喫緊の課題である個人消費に回ることはない。拙速でも多少、公平性を欠いても個人消費に即効のある(タイのような)給付制度は取れないものか、と思う。