チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

京都観光(2)

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清水の舞台、人がいない

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京都タワーが遠望できる

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本堂から阿弥陀堂を撮る。画面中央の女性のポートレートも撮った。

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阿弥陀堂から京都市内を遠望

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阿弥陀堂から清水の舞台を。

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同上

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音羽の滝

 

 

京都観光(2)


清水寺
清水寺は京都観光の定番スポット、1994年に世界文化遺産に登録された「古都京都の文化財」の中のひとつでもある。茶わん坂を登ってきて、まず目に入るのが仁王門、寺の正門にあたる。清水寺自体の創建は8世紀、奈良時代に遡るが、現在の仁王門は、戦国時代の戦火で焼失したものを1500年代に再建したもので、国指定重要文化財となっている。朱色が鮮やか過ぎて、一見、台湾の寺門を連想してしまったが、2003年に解体修理が実施され、再建当時の輝きを取り戻した、とあとで知った。

仁王門は幅が約10メートルで奥行き約5メートル、高さは約14メートルにもおよぶ。茶わん坂、清水坂を登ってきた参拝客は、この巨大な門を見上げて賛嘆のため息を漏らす。門に近づくには石段を登る。誰もが知っている清水の舞台に辿り着くには更に坂道、石段を登らなくてはならない。杖を突く老人がいた。門を仰いでため息をついていたが、讃嘆ではなく、「ああ、こりゃ登れん」、失望のため息だったのだろう。自分ももうすぐこうなる。

まずは清水の舞台で知られる本堂を目指す。清水寺は13万平方メートルの土地に大小30もの伽藍がある。多くは国宝や重要文化財に指定されており、ざっと見るだけでも1時間はかかるでしょう、と案内書には書いてある。

■清水の舞台、再び
半世紀近く前にこの清水寺の本堂から京都市内を見下ろした経験がある。修学旅行だったから、ここ、清水の舞台は多くの参拝客で混雑していたはずだ。今回は10時半という絶好の観光時間であるのに、パラパラとしか人がいない。外人もいない。京都タワーが遠望できる。左手には阿弥陀堂とその前にせり出した舞台が見えた。本堂の前に腰を下ろしても人影に視界を遮られることがない。感染症も悪いことばかりではない。物事はコインの裏表、小さな喜びはどこにでもある。阿弥陀堂を遠望すると欄干に手をかけて本堂を見ている人が豆粒のように見えた。望遠83倍、自慢のニコンを駆使し、マスクをした女性の顔を盗撮、周りには怪しい自分をたしなめる人は全くいない。

清水の舞台というように、本来は舞楽が奉納された場所で檜の板が張られている。広さは約100畳、自分の腕前を試すにふさわしい場所、つまり晴れ舞台という意味で「檜舞台」という言葉が使われるが、その発祥はこの清水の舞台という。地上からは、ビル4階に相当する約13mの高さがあり、懸け造りと呼ばれる釘を一切使用しない、伝統な建築技法が用いられているとのこと。

阿弥陀堂から本堂を撮る、が清水寺写真の定番である。自分も本堂から阿弥陀堂へ移動する。昔は舞台を支える樹齢400年を超える柱を写真構図に含めることができたが、今は樹木が柱を隠してしまっている。多少迫力に欠けるが、何枚か阿弥陀堂から見る本堂の写真を撮って、阿弥陀堂の濡れ縁に腰かけた。2,3組しか参拝客がいないので彼らの会話が聞くともなく耳に入ってくる。多少の関西なまりがあっても会話が理解できる。日本語だ。やはり日本はいい。

音羽の滝へ下る
多くの生徒に交じって、3本の流れ落ちる聖水に柄杓を伸ばしている高校生の写真があった。17歳の自分である。もう夕暮れに近く、友人がフラッシュを焚いて写してくれたのだろう。清水の舞台よりもこの音羽の滝の思い出が鮮明であるのは写真のお陰だ。

音羽の滝は、清水の舞台がある本堂の東側の石段を降りたところにある。清水寺きってのパワースポットとして有名。音羽山の湧き水は3本の筧を通って流れ落ちる。創建以来、一度も絶えることなく流れ落ちる水は、「観音様の功徳水」「金色水」「延命水」といった名前でも呼ばれている。寺号の「清水寺」もこの清らかな水からきているとされていて、まさに寺の原点といえる場所だ。音羽の滝のご利益は、向かって右から順番に「恋愛成就」「延命長寿」「学問上達」だと言われている(諸説あり)。自分が高校生の時はこんなご利益があるなどと聞いたことがない。どこの神社仏閣にも「恋愛成就」のスポットが登場するのはここ10数年のことではないか。

夕暮れの人混みの中で竹の柄杓を差し出した50年前と違い、滝には全く人影がない。真昼の太陽の下、ご利益の有難みまで消えてしまう。柄杓は金属製になっており、青い殺菌灯の箱から取り出す。「延命長寿」の冷たい水を一口、そしてペットボトルに柄杓の水を汲む。親子連れが下で自分が去るのを待っている。慌てて場所を譲る。滝の前にある休憩所で見ていたが、柄杓の水を飲む人は皆無だった。1200年に亘り、庶民がこぞって飲み続けた聖水であるが、今は密を避け生水は飲まない、これも武漢肺炎の影響か。