チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

映画、識字率、歴史

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映画、フェアウェルから

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主演のオークワフィナ

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横浜

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望遠で

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横浜

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同上、いつ見てもエキゾチック

 

映画、識字率、歴史


■フェアウェル
昨年3月に帰国して以来、映画館で観た映画は120本を越えた。映画は読書や人と会うことと同じで、自分の知らない世界を教えてくれる。古いハリウッド映画も観るし、監督の独り相撲としか思えない邦画も観る。韓国映画、タイ映画も何本か観ている。中国生まれでアメリカ育ちのルル・ワン監督の「フェアウェル」を観た。彼女の実体験を基にした映画という。

祖国を離れて海外で暮らしていた親戚一同が、余命わずかな祖母のために帰郷し、それぞれが祖母のためを思い、時にぶつかり、励ましながら過ごす日々を描いたハートウォーミングドラマ。ニューヨークに暮らすビリーは、中国にいる祖母が末期の肺がんで余命数週間と知らされる。この事態に、アメリカや日本など世界各国で暮らしていた家族が帰郷し、親戚一同が久しぶりに顔をそろえる。アメリカ育ちのビリーは、大好きなおばあちゃんが残り少ない人生を後悔なく過ごせるよう、病状を本人に打ち明けるべきだと主張するが、中国に住む大叔母がビリーの意見に反対する。オークワフィナが祖母思いの孫娘、ビリーを演じている。オークワフィナはその辺のねーちゃんといった感じだが実力派の女優さんらしい。この映画には甥っ子の嫁となる日本女性を含め、美人は全く出てこない。

世界各国に一族が散らばっているということは中国でも裕福な一族と知れる。祖母が清明節に一族全員を従えて墓参りをする。中国人の結束は「宗族」にあり、が見て取れる。映画も勉強になる。

 

■文盲は普通か
ビリーは病院へおつかいに行った女中から祖母の診断書を取り上げて、街のコピー屋に駆け込み、末期がんを良性腫瘍に書き換える。若い女中にビリーは「中を読んでないでしょうね」と確かめるが、彼女は「私は字が読めませんから」と答えていた。
運転免許や卒業証書のでっち上げは当たり前の国だから、診断書の書き換えなど当たり前なのだろう。でも20歳前後の女中さんが文盲であることには驚いた。

東京五輪、女子高飛び込みを制した14歳の全紅嬋選手は読み書きはできない。遊園地にも動物園にも行ったことがなく、小さい時、お人形遊びをした記憶がわずかにあるだけという。彼女は中国人記者の質問が聞き取れず、コーチの通訳でUFOキャッチャーをやってみたいと恥ずかしそうに答えていた。彼女は広東の農村出身だからマンダリンが不得意なのかもしれない。ヤフーニュースの「母国語も聞き取れない中国の14歳金メダリスト…」という記事は消去されて読めなくなっている。中国に都合が悪いことだったからだろう。

■油断できない
中国共産党百年の式典で「次の百年」と習近平主席は言った。次の百年で文盲をなくすとか6億人の貧困層のかさ上げを計るということではない。偉大なる漢民族が世界を指導するというのだ。

確かに中国は歴史的に大国と言われる時代が長かった。GDPは平均給与X総人口、つまり人口に比例するからここ2千年、中国は大国であった。でも漢民族が偉大だったということではない。中国の2千年の歴史のうち、漢民族が中国を統治していた期間は500年ほど、あとの1500年は鮮卑、蒙古、満州族などの異民族に支配されていた。漢民族はその間、大英帝国時代のインド人、18,19世紀の米国における黒人やインディアンのような扱いを受けていた。

満州族清朝は北京に故宮を建てたが、これは家奴の漢人を取り締まるためであった。満州人は漢族を見下しており、その証拠に皇帝の後宮には漢人の女はいなかった。20世紀初めに辛亥革命がおこり、漢人はやっと奴隷身分から解放された。

ところが奴隷上りの漢族、孫文清朝の版図は全て漢族のもの、と言い出した。漢族と違って清朝と同盟関係を結んでいたチベット、モンゴル、ウィグル(回族)は怒った。何が4族協和だ、と世界が笑ったのだが、日本を「白人の敵」とみなしていたアメリカが孫文に肩入れする。日本潰しを狙うアメリカは満州国も漢族のものだ、という「スティムソン・ドクトリン」を出した。これで中国は万里の長城の内側だけではなく南はエベレストから北はロシア国境にいたる広大な地域の領有を認められた。孫文を引き継ぐ中国共産党はウィグルやチベットは内政問題というがそのお墨付きはアメリカが与えた。

被差別民族だった漢民族の暗い情念は、下放により16歳から22歳まで土穴で過ごさざるを得なかった習近平の劣等感と結びついている。中国百年の恥辱、その一因は日清戦争に勝った日本にある。歴史にケチが付いたのは日本のせいだ。香港の次は台湾、その次は日本に矛を向けてくることを忘れてはならない。