夕方は林で日影ができる
洗足駅前のひまわり
守谷の海岸で
濃溝の滝
同上
体も心も健康に
■運動不足
チェンライにいた頃は週に数回はコートに出ていた。週5日、定時に家を出るのだから仕事に行くのと同じだ。現に女中さんには「パイ・タムガン(仕事に行ってくる)」といってスクータに跨った。女中さんも心得たもので、はい、はい、行ってらっしゃい、と送り出してくれたものだ。体を動かす、汗をかく、ということは楽しいことだ。楽しくてもゲームとか飲酒のように目とか体によろしくないこともあるが、テニスは楽しい上に健康にもいい。2時間ほどやって帰ってシャワーを浴びると、身も心もさっぱりする。ネットを見るもよし、原稿を書くもよし、旅行計画を立てるもよし、運動は考え方を積極的に明るくする作用があるようだ。
チェンライでの「仕事」をやめてから1年以上たつ。体を動かさないと老け込むような気がして、2日に一度は商店街に人出状況のチェックに出かけていた。図書館まで2キロ弱だが努めて歩く。歩けばマスクの価格の推移など気づきはあるが、歩くこと自体はそれほど楽しくない。人から見れば単なる徘徊老人だ。
帰国して以来、運動らしい運動はしていないので、脹脛や腿の筋肉が落ちた。また顔や腕の色が白くなった。成田空港の喫茶店では店員に英語で話しかけられたほど日に焼けていたが、やっと日本人並みに戻った。
■15カ月振りのテニス
7月初旬に高校のクラスメートと安房勝浦を旅した。泊まったリゾートホテルにテニスコートがあり、友人が我が生活状況に同情して、テニスを1時間付き合ってくれた。1年以上ラケットを握っていない。友人はとある大会で準優勝する腕前である。力量は段違いで、打ちやすい球を返してくれるのであるが、思ったようにラケットに当たらない。これはラケットのせいではなく、腕が落ちているせいだ。タイ語だって1年喋ってないと忘れてしまう。それと同じだ。1時間もんで貰ったが、流れ落ちる汗とは裏腹に心は落ち込んだ。こんなにヘタになったのでは、チェンライのコート仲間に笑われてしまう。自分個人が下手というだけではなく、あの日本人は、と国の評価にも関係するかもしれない。
友人が、彼の所属しているテニスクラブならビジターとしてプレーできるからやってみないか、と誘ってくれた。この暑さであるし、日頃、運動していないし、と始めは尻込みしたが友人だって同じ年齢、誘いを受けることにした。
コートは大田区の森に囲まれたクレーコート、近所の年配女性4名、友人と自分の6名に1人のコーチがつく。時間は1時間半であるが、準備運動、ボレー、フォア、バックと茶道の点前の如く流れるように進んでいく。球は籠に山ほど入っているから途切れることなく球が飛んでくる。おばさま方は一連の所作をスムースにこなしていくがこちらは勝手がいまいち吞み込めない。多分「あの人モタモタしてるわねえ」と思われたに違いない。ほぼ休みなしでラケットを振り続け、流れる汗は滝のよう、水は2リットル以上飲んだと思う。
コーチに指摘されたことはチェンライで上手な人に指摘されたことと同じ。まだ上達する余地がある。タイに戻るまで何度かレッスンを受けることに決めた。
■ブルーインパルス
23日の昼過ぎ、武蔵小山商店街付近を歩いていた。多くの人が立ち止まって空を見上げている。アッ、見えた、見えた、と携帯を頭上にかざす。ブルーインパルスの飛行機雲が雲と青空の間に見えた。
中止しろだの無観客だのと大騒ぎしたが、始まってみれば多くの人が明るい顔でオリパラを観戦している。スポーツなんだから自分でやっても楽しいし、極限まで鍛えた技を目の当たりにすることは楽しさを越えて感動してしまう。
ジャーナリストの有本香さんが『「菅総理が無観客決定したみたいになってるが本来の決定者は“主催者の東京都知事”。しかし小池百合子は自分が決断したと思われないよう都議選後に二階幹事長・山口代表に根回&尾身会長と面談され総理は外堀が埋められた。無観客の画策者は小池百合子」 いざとなったら他人面。小池はいつも卑怯』とネットに書いている。でも今更、観客を入れるわけにもいかないし、無観客であっても世界の若者が競い、日本選手が日本のために戦う姿は感動を呼び覚ます。嬉しそうに飛行機雲を見上げていた家族連れやおじさん、おばさんには政治の駆け引きはもうどうでもいい。
スポーツは自分でやって楽しいし、健康にもいい。またトップレベルの戦いは見るだけでも心が踊り、精神が高められる。オリパラで心の健康に思いを馳せる人も多いのではないか。