チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

弘法大師の霊跡(3)

f:id:hidenaka24:20210403131713j:plain

仮設通路の先が御厨人窟

f:id:hidenaka24:20210403131735j:plain

向かって左が御厨人窟、右が神明窟

f:id:hidenaka24:20210403131752j:plain

御厨人窟から道路を隔てて烏帽子岩がみえる

f:id:hidenaka24:20210403131818j:plain

四国第二十四番霊場最御崎寺

f:id:hidenaka24:20210403131842j:plain

鐘石、石の上に小石が用意されている

f:id:hidenaka24:20210403131902j:plain

昔からの遍路道



弘法大師の霊跡(3)

御厨人窟(みくろど)
弘法大師は四国八十八ヵ所霊場のほかにも数多くの足跡を残しており、それらは番外霊場として人々の信仰を集めてきた。番外霊場の数は200ともいわれるが、御厨人窟もその一つである。案内してくれたAさんは何年かかけて四国八十八ヵ所をすべて巡り、高野山にもお礼参りをしたという。でも御厨人窟は車で通りすぎることはあってもお参りするのは初めてとのこと。

御厨人窟と神明窟は国道55号沿いの室戸岬東側に位置する隆起海蝕洞である。洞窟前の駐車スペースとなっている場所は波食台であり洞窟上部の崖は海食崖である。修行場であった御厨人窟の向かって右側に大師さまが生活されたと言われる神明窟がある。昔は窟のすぐ前が海になっていたという。広い駐車場には先客が1台のみ。
以前はお遍路さんたちが洞窟内に入り、波音を聞き、空と海の大自然のエネルギーを体感したという、しかし崖からの落石があって、2012年に洞窟内立ち入り禁止となっていた。2019年には鉄骨、金属網で覆われた仮設通路ができ、入洞が再開されたが、我々が行った時は仮設通路の前に不細工なバリケードが築かれていて、洞窟に近づくこともできなかった。

御厨人窟紹介ネットは洞窟内から海を臨むショットが多い。洞窟の中で聞こえる豪快な波の音は「室戸岬御厨人窟の波音」として環境省の残したい「日本の音風景100選」に選定されている。大師様とおなじ場所に立ってパワーを頂こうと思っていたのにバリケードと仮設通路のせいで有難みは9割型減じていた。道路を隔てて奇岩、烏帽子岩がある。海岸沿いの遊歩道を通ると巨大な中岡慎太郎像の前に出た。ここは「恋人の聖地」と案内板にあったが、その理由はわからないし、興味もない。

最御崎寺(ほつみさきじ)
御厨人窟から3キロほどにある四国第二十四番霊場最御崎寺へ向かう。駐車場からなだらかな坂、もしくは石段を登る。この寺に隣接して室戸岬灯台がある。標高は164mという。二十三番霊場薬王寺からは平坦な道ながら山と海に挟まれた一本道を延々と80キロ近く進む。歩き遍路にとっては難所であり、遍路道の傍らには古い遍路墓がいくつもあるという。

現在は四国八十八ヵ所霊場を10泊11日で回るバス旅行がある。費用は20万前後、また、県ごとに霊場を分割して回るコースもある。タクシーを借り上げ、1週間で全霊場を回る「通し打ち」を敢行した友人がいる。1日平均10ヵ所以上、参拝している間に運転手さんが納経帳に朱印を押してもらうという分業体制の強行軍、結願となった時、タクシーの運転手さんが、ああ、新記録達成だ、と叫んだというから凄い。それで、どこのお寺がよかった?と聞いたが、全く覚えていないという。でも大師様のご加護のお陰か、現在もゴルフ中心の健康な日々を送っている。

さて、最御崎寺弘法大師が大同2年(807年)に嵯峨天皇の勅願によって本尊の虚空蔵菩薩像を刻み、開創された由緒ある寺だ。もとは奥の院・四十寺がある四十寺山にあったが、寛徳年間(1044年~1055年)に現在地に移ったといわれている。厳格な修行の聖地で明治5年まで女人禁制だった。仁王門をくぐると風格ある鐘楼堂が右手にみえる。この鐘楼堂は土佐藩2代目藩主山内忠義が寄進したもので、慶安元年(1648年)に建立された。本堂にはお遍路さんが数人参拝していた。自分も硬貨を賽銭箱に投げ入れ、どうかスマホが見つかりますように、とお祈りをした。Aさん宅から成田の第3ターミナルの遺失物係に再度問い合わせたが、スマホは届いていないという。ジェットスターの連絡先を教えてくれたが何度掛けても通じない。機内でスマホに触った覚えはない。これはダメか。

弘法大師7不思議
鐘楼堂の裏手にはミニ四国霊場があり小さな石仏が並んでいる。また鐘楼堂の手前左側には弘法大師の7不思議の一つ、「鐘石」がある。小石で叩くと金のような音を発し、その音は冥途まで届くという。叩くとキーンという金属音が聞こえた。

7不思議の一つ、「食わず芋」も境内にある。弘法大師が空腹に耐えかねて川でイモを洗っていた老婆にイモをひとつ所望したところ、老婆は『このイモは食べられない』と嘘を言った。すると、イモは本当に煮ても焼いても食べられなくなり、「クワズイモ」と呼ばれるようになった。大師様はあちこちで水や食物を所望し、もらえないと水を飲めなくしたり、クワズXXに変化させてしまう。このクワズXXは30種ほどあるらしい。
この日は室戸から甲浦を経て阿波海南までバスで行くつもりだったが、Aさんの車で阿波海南の民宿まで送って頂いた。(続く)