チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

すみだ北斎美術館

f:id:hidenaka24:20210116181418j:plain

 すみだ北斎美術館

f:id:hidenaka24:20210116181742j:plain

 神奈川沖浪裏

f:id:hidenaka24:20210116181941j:plain

凱風快晴、

f:id:hidenaka24:20210116182017j:plain

北斎アトリエ、人形は少し動くらしい

f:id:hidenaka24:20210116182044j:plain

3回から4階へ行く階段

f:id:hidenaka24:20210116182111j:plain

マンガの元祖か

f:id:hidenaka24:20210116182137j:plain

ポーランドの画家による浮世絵

 

すみだ北斎美術館

 

■両国は見所一杯
江戸時代の始め、大川、今の隅田川が武蔵の国と下総の国の国境であった。万治2年(1659年)に大川に両方の国をまたぐ大橋がかけられ、その橋を一般的に両国橋といった。それが両国の謂れという。川の東側、今の墨田区側は江戸時代に新興住宅地として発展した。

関東大震災東京大空襲でこのあたりは焼け野原になったが、本所とか亀戸など古い地名が残っている。本所といえば松坂町、赤穂浪士の討ち入りで有名な吉良上野介の屋敷があった場所である。今は公園となっているが吉良邸跡として一部が保存されている。他にも勝海舟生誕の地とか歴史に興味のある人ならば行ってみたいところはあるだろう。

両国周辺はほかにも見るべきところとして、大江戸博物館、相撲博物館すみだ北斎美術館、相撲発祥の地であり、鼠小僧の墓がある回向院、横網公園には空襲で亡くなった16万3千体の遺骨が安置された東京慰霊堂とその資料館がある。あと旧安田庭園芭蕉記念館、田川水泡のらくろ館なども国技館から歩いていける範囲だ。

■新しい美術館
折角、両国まで行くのだし、と国技館の前にすみだ北斎美術館に行ってみることにした。
すみだ北斎美術館は2016年に開館した。江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎が本所界隈で生涯を送ったことや、彼が本所割下水で生まれたとされ、当時の「南割下水」に相当する現在の「北斎通り」の線上にある亀沢もゆかりの地に含まれることからこの地に建設された。

美術館の前は公園となっていて、子供や家族連れがジャングルジム、ブランコなどで遊んでいる。公園と地域が一体化した、誰もが気軽に立ち寄れる美術館を目指しているという。

銀色に輝く斬新なデザインの美術館全景を撮影しようとしたが、どうしても子供の姿が写りこむ。変なオジサンが盗撮しているんです、と通報されないかと気を遣ってしまう。タイだったら、写して、写してと子供が寄ってくるのであるが。

世界遺産登録にも貢献
北斎は6歳から絵を描き始め、90歳で没するまでに3万点を越える作品を残している。北斎の代表作といえばやはり富岳三十六景だろう。大波の中央に小さく富士をあしらった「神奈川沖浪裏」、赤富士で知られる「凱風快晴」は誰もが知っている。富士を見たこともないゴッホ北斎に影響を受けて富士山の絵を描いている。

富士山は「富士山:信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録された。審議に当たっては三保の松原を含めるかどうかで議論が分かれた。三保の松原は富士山を形成するものではない、海岸には波消しブロックがあり、景観を損ねている等々・・・。しかし、「物理的なつながりではなく視覚的、精神的な関係は文化遺産の評価において重要である」という目に見えないものの価値を訴える日本の意見が通った。

FUJISAN 世界遺産への道」で近藤誠一氏(文化庁長官)は次のように述べている。
「自然の造形物にしか過ぎない富士山が、世界の自然遺産ではなく、文化遺産になったということは、日本人がその山に特別な意味を見いだし、そこから高度の芸術的・思想的インスピレーションを得て、自ら深い自然観や洗練された美意識を育ててきたこと、そしてそれが今の日本文化の礎になっていることを世界が知り、評価したに等しい」。
彼は各国の賛同を得るための北斎の浮世絵を見せて回ったという。日本の精神性、思想を端的に示すには最適だったと思う。

■楽しめる展示
常設展では「高詳細複製画」で北斎の代表作を見ることが出来る。新しい美術館らしく、タッチパネル、高詳細4Kモニター、コンピュータで推定復元した巨大絵馬など、大人も子供も見て、触って、動かして楽しめるよう工夫されている。

汚い長屋(アトリエ)で炬燵に半分はいりながら熱心に絵を描く北斎とそれを見ている娘のお栄の実物模型がある。実にリアルで今にも動き出しそうだ。チェンライのオピウム・ミュージアムにも阿片を吸って恍惚としているオジサンや治療のため檻に入れられたヤク中患者の実物大人形があるが、出来が全然違う。浮世絵やAIばかりでなくこのアトリエを見るだけでも入場料を払う価値がある。

4階ではポーランドの「日本美術技術博物館マンガ」から浮世絵にヒントを得たアーチストの作品が展示されていた。この国立美術館の設立に当たってはアンジェイ・ワイダ監督が深く関わっている。浮世絵はモネやゴッホばかりでなく、現代の西欧にも影響を与えているようだ。1時間ではとても回り切れない。再訪を期して国技館へ急いだ。

 

なお、美術館の展示品はこちらの写真コーナーで見ることが出来ます。

(12) すみだ北斎美術館 | Facebook