チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

遠出してみた

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特急とき

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スキー場のゲレンデ

 

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10畳の和室

 

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大浴場

 

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野天風呂

 

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同上、宿泊期間中、常に入浴客は自分だけだった

 


遠出してみた

 

■一泊旅行はいつものこと
チェンライにいた頃は、自宅から100-200キロ離れたチェンマイ、ランパン、トードタイ、ナーン、パヤオなどの街へ1泊で出かけたものだ。ニイさんの作る料理は牡蠣油味の肉野菜炒めばかりだから、時には変わったものを食べたくなる。市内のレストランも悪くはないが、飲んで泊まって、のんびりするのも生活のアクセントである。
2,3カ月に1度くらいは海外旅行にも出かけていたが、タイ国内の旅であれば、緊張度合いは少なく気軽であった。この街ならあの店であの料理を、と決まっていた。


折角、日本にいるのだから、食べ歩きとか温泉旅行を、などと考えていたが、初めの3カ月くらいはすぐにタイに戻れるのでは、と落ち着かなかったし、そのあとは緊急事態宣言やら猛暑で外出、遠出が憚れる状況になってしまった。東京から来る人はバイキン扱い、観光地に停めた東京ナンバーの車に落書きをされた、といった自粛警察事件が起こったのもこの頃のことだった。感染症騒ぎを通して日本とか日本人は面白いなあと思ったが、まだ完全収束に至っていないので、総括は控えておきたい。

■越後湯沢へ
10月に入って娘が新潟の温泉に行こうという。娘の亭主は長期海外出張中で、娘と孫(9カ月)は埼玉の叔母の家にいる。Go to Travel の恩恵を受けるにはは2人が基準になるらしい。あー、金のことなら心配するな、場所と日にちが分かれば現地集合でいいよ。


こんなわけで10月のある日、新潟県越後湯沢へ出かけた。自分は新潟県長岡生まれである。小学校2年の時、父の転勤に伴って東京に来た。60年以上前のことだから長岡から東京はとても遠く、途中で1泊して上野駅に着いた思い出がある。ところが今は新幹線が走っていて東京駅を11時40分に出ると越後湯沢駅には13時に到着する。僅か1時間20分だ。発車直後に缶ビールをプシュッ、大丸地下街で買ったカキフライ弁当を開く。これがやりたかったんだよなー。

越後湯沢で下車した人は数人だった。関越道を使えば東京から車で2時間足らずの距離、車で来る人が多いのだろう。駅からホテルまで徒歩20分というので歩いてみた。線路沿いの道を長岡方面に登っていくと、休業中のロッジや旅館が目に付く。左手には草に覆われたゲレンデやリフトが見えた。シーズンオフのせいだろうか、歩行者は自分だけだ。ひときわ大きなライオンズマンションが見えたが人の気配はない。温泉とスキーが楽しめるリゾートマンション、と建設当時は人気だったのだろう。

■歴史ある温泉
越後湯沢は8千年前の縄文遺跡があり、5千年前の火炎式土器が出土している。縄文中期は温暖であったから、縄文人が温泉に浸かったとしても雪見しながらではなかったと思われる。

越後湯沢の温泉としての歴史は平安時代高橋半六が自然湧出毎分300Lの温泉を発見したことに始まるという。高橋半六が祖となる高半旅館は現在も営業中、高半は川端康成が「雪国」を書き上げた旅館としても知られている。川端康成昭和9年から12年にかけて逗留していた部屋は現存しており、見学できるらしい。

実は今回投宿したホテルは高半旅館の隣にあり、400年の歴史を持つホテルという。まあ平安時代には負けるが泉質は同じだ。早めのチェックインだったので大浴場、露天風呂は貸し切り状態、娘が泉質で選んだというだけあって源泉かけ流しの弱アルカリ泉、源泉温度43度だがぬるめでよく温まった。7月に山梨県の温泉に行った時も感じたことであるが、日本の温泉は清潔で気持ちがいい。チェンライにも源泉かけ流し、個室の温泉があるが、蟻や羽虫、時にはムカデ、オサムシがいて洗い場の先客を洗い流すことから入浴が始まる。日本の温泉はストレスフリーだ。

■和室でゆったり
部屋は10畳の和室、夕食、朝食とも部屋で摂れたので、赤ん坊がいても周りに気を使う必要がない。配膳された夕食は、味もさることながら、バラエティに富んだ美しい器、食材とその色合いのバランス、食材をガチャガチャと炒めただけのタイ料理に慣れた目から見ると、まさに芸術作品だ。それに飛び切りのコシヒカリのご飯にも感激した。
娘が東京の割烹でこれくらいの料理を食べたら1万円ではすまない、風呂付個室で朝ごはんもついて、温泉にも入れて、布団も敷いてくれて、これで一人1万円はおトクだよね、と感心していた。

越後湯沢の観光スポットにはいかず、和室でゴロゴロし、温泉に何度か入るだけの1泊ではあったが、改めて日本はいいなあ、と思った。年金を貯めるのが目的で生きているのではないから、またどこか温泉に、と思っている。