チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

名前が出てこない

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友人の別荘がある山中湖に行きました

 

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梅雨でしたが運よく富士山を見ることができました。

 

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花の都公園

 

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紫陽花が見ごろ

 

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世界遺産忍野八海

 

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インラック元首相




名前が出てこない

 

■老化は避けられない
どこか体の具合が悪くなれば、医者に「お年ですから(仕方がない)」と言われ、適当な薬を処方されて帰る。70を過ぎればトシだからと諦めるべきことは多い。もう100m13秒では走れないし、50mを40秒で泳ぎ切ることはできない。立ち上がる時も「よっこらしょ」と掛け声をかける。もうウィンブルドンは無理にしてもなんとかラケットに球が当たるうちがハナか。

タイ人は敬老の気持ちが強いから、自分のように60歳から本格的にテニスに親しむようになった年寄りにも明るく接してくれる。却って年配のアメリカ人のほうが、「お前、なんでそんなところに立っているんだ。前衛があっちに移動したら、すぐこっちに動け」などと厳しい指示をとばす。でもその米人もすでに80過ぎ、試合中でも本人が動かざるごと山の如し、といった状態になっている。こっちは彼をカバーするために言われなくても前後、左右に動き回る。でもあと一歩で球に追いつけない。だが彼も年のせいか人格が丸くなって、うるさく言わなくなった。言っても言われても無駄、とお互い了解しているからかもしれないが。

 

■ボケの始まり
体の動きは人が見ても自分でも、あー、衰えたなあ、と分かる。頭の働きも体同様に衰えているはずであるが、自分では自覚できていないような気がする。「あの部長もねえ、昔は切れ者と言われたけれど、今はただの耄碌爺さんだねえ」。目の前でいう人はないから、本人も気づかない。うっかり本人に聞こえたら「昔は切れ者、今はホントにキレる人になってるよ」などと陰口をたたかれることになる。

このところ、友人と話をしていて、人の名前が出てこなくなった。芸能人、タレントの名前はここ10年以上芸能ニュースを見ていないからそもそも名前を知らない。だから思い出しようもないが、先日はタイの元首相、インラックの名前が思い出せなかった。えーと、あのタクシンの妹でー、などと言っているうちに時間が過ぎる。相手も気の毒に思って話題を変えてしまう。折角、タイの政治に話題を振ってくれたのに、話の腰を追ってすみません。味気ない雰囲気となる。

 

■円楽師匠
インラック氏は首相在任中、農民の収入を上げるために政府が高く米を買い上げ、その価格より安価で消費者に供給した。日本の「食料管理制度」によく似ている。インラック氏はこの制度で国に多額の損害を与えたという罪で、2017年に禁固5年の実刑判決を受け、現在、国外逃亡中である。53歳のはずであるがまだその美貌は衰えていない。

チェンライでコメ作りをしている邦人がいて、親しくさせて頂いている。彼とタイの米価について話していた時、突然、話題が落語に変わった。彼がしきりに「円楽師匠があーした、こーした」というのだが、コメと落語家の関係がよくわからない。円楽とは長らく「笑点」の司会を務めた5代目円楽のことかな、それとも楽太郎改め6代目円楽のことかしら、と聞いていた。友人には強い北関東訛りがあり普通の会話も聞き取りにくい。
そのうち、ハタ、と気が付いた。彼は「円楽師匠」ではなく、「インラック首相」と言っていたのだ。そうだよな、円楽師匠がタイの米価に関与する訳ないよな。

 

■ホレ、あの人
タイの女性首相、インラック氏の名前がすぐに出てくれば、話題は上記のように続いたのではないかと思う。
えーと、あの人、モニタリングに出てくる、年配の俳優、などと友人も言っている。お互い年だから「名前がすぐ出てこない」はしょうがないねと慰めあっている。

だが、先ほどの5代目円楽師匠は、2005年6月の笑点の収録でたい平の名前を思い出せず、たい平が挙手をした際に「誰だっけ?」と発言してしまったり、他のメンバーに対しても指名してから名前が出るまでに間が空くことがあった。これは脳梗塞の前兆でこの年の10月に脳梗塞で入院、完全再起はならず、4年後の2009年に亡くなっている。

名前が出てこない、の陰には脳疾患が疑われることもあるので、気を付けなければならない。しかし最近の老人もITに詳しくなっているから、名前がすぐに出てこなくても、ちょっと待って、と言いながら携帯を取り出し、「モニタリング、出演者」などとググって、ホラ、この人、と写真を見せる。あー、笹野さんね、それで、彼がどうしたの、と会話が続く。

AIが進歩しているのだから、入力しなくても、「ホレ、あの人、あの人」というだけで50年連れ添った老妻が「ああ、XXさんね」と答えてくれるように、携帯が教えてくれる日も遠くないだろう。まあその時までこちらが生きているかどうかわからないが。