チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

台湾余聞

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金門島の人々の信仰の対象となっている石像、風獅爺

 

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対空機関砲と上陸用舟艇金門島

 

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戦車、翟山坑道で

 

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芝山厳、神社の面影

 

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神社の階段

 

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殉職教師の慰霊碑



台湾余聞

■行ってみてわかる
昨年10月の台湾の旅行記を10本以上書いているのにまだ終わらない。旅行記には人それぞれのスタイルがある、自分の場合、実地に現地を訪れて見聞きし、そして感じたことばかりでなく、その背景、歴史、文化、或いは先人のネットなどを参考にして書く。これは旅の思い出を確実にしたいと思うからである。八田興一、根本中将、芝山学堂の六氏先生についてはいくつもの書籍が出版されているし、ネット記事も1日中読んでいても読み切れないほどある。知識として知っていても、碧の水を湛えた烏山頭ダムや古寧頭の砂浜、芝山巌の遭難の碑を目の当たりにした感慨は格別のものがある。八田技師の銅像、学務官僚遭難之碑はきれいに清掃されてして、台湾の人々の日本に対する心情を垣間見たように思った。行ってみてわかること、感じることは必ずある。これが旅の面白さではないか。

金門島には台湾本島から舟で行けるのではないかと思っていたが、本島からは200キロも離れていて、空路しかないことを行く直前に知った。中国大陸から2キロしか離れてないから、昔から本土との関係は濃い。2018年には福建省から金門島への送水管が完成し、水不足に悩む金門島は大助かりだ。「同じ家の人間として同じ水を飲もう」は将来の中台統一を目指した中国側の呼びかけであった。

金門県の県知事は以前から1国2制度の支持を表明している。今年1月に行われた中華民国総統選挙では蔡英文氏が投票総数の57%、817万票を得て当選したが、金門県での彼女の得票率は僅か22%、一方、国民党の韓国瑜氏は75%の票を得ている。スコットランドで独立を巡る住民投票が話題となっているが、金門島で帰属を巡る投票があるとしたら金門島は中国に、ということになるかもしれない。 

■芝山巌精神
下関条約で日本に台湾が割譲されたのが明治28年、その年に芝山学堂が開かれ、寝食を共にしながら六氏先生たちが子供に日本語教育を始めた。翌、明治29年1月に六氏先生は抗日ゲリラに惨殺された。遺体は台湾の人たちが丁寧に葬っていた、とあるから先生たちが台湾の人々に慕われていたことがわかる。戦後、国民党政府のもとで、神社が石碑、墓が破壊された折には、遺骨を心ある台湾の人が密かに無縁墓に移動させて2000年に墓が再建されるまでお祀りしていた。

また総理大臣伊藤博文の揮毫になる「学務官僚遭難之碑」は先生たちが亡くなった翌年、明治30年に建立されている。当初、関係者は「殉難」の碑と書いてくれるよう伊藤に懇願したが、伊藤博文はあえて「殉難」の文字は使わず「遭難の碑」としたという。これは当時の政治家が台湾統治を台湾現地の人々の心情を考えながら進めようとした表れと言えるだろう。
戦前、台湾に赴任する教師は必ず、芝山巌を参拝し、教育の信念、気概を新たにしたという。現在では毎年2月1日には慰霊祭が執り行われ、芝山巌は「台湾教育の聖地」と称されている。

戦前歌われた六氏先生の歌

作歌:加部巌夫 作曲:高橋二三四

やよや子等 はげめよや
学べ子等 子供たちよ
慕へ慕へ 倒れてやみし先生を

歌へ子等 思へよや
すすめ子等 国のため
思へ思へ 遭難六氏先生を

■台湾への言及
と、思いつくままに書いてきたところで、1月20日、衆参両院の本会議で安倍首相が、施政方針演説の中で「台湾」に言及、というニュースがあった。台湾への言及は東京オリパラの各国選手受け入れの地区として、岩手県野田村が台湾選手受け入れ地区となったことを紹介するものだった。予め国会議員には知らされていたのか、台湾との首相発言があった時、議場は拍手と歓声に包まれた。

施政方針演説とは毎年1月に召集れさる通常国会で行われ、首相がその年全体の内閣全体の基本方針を示すものである。起草に当たっては各省庁が関係する「公式」な内容とされる。
一方、同じく首相が行う演説に「所信表明演説」がある。所信表明演説臨時国会冒頭や首相が選出される特別国会で行われ、どちらかというと、首相の個人的考え方を示すものである。官僚の手が入っていないとは言えないが、施政方針演説よりは非公式、と言えなくもない。

重みのある施政方針演説で台湾への言及があったことは蔡英文総統をかなり喜ばせたようだ。
即座に蔡総統は、「『台湾』という言葉が国会で大きな拍手を浴びたのは実に嬉しいことです!20以上の自治体が台湾選手のホストタウンを希望していたと聞いています。我々も日本にてトレーニングし、競技に参加できるのを楽しみにしています!頑張ろう!東京オリパラ!」と日本語でツィートした。

どこかの国家主席よりも蔡英文総統を国賓として日本にお招きしたい。