チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

サマルカンド ( 3/4)

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サマルカンドへ行くその3
(炎熱の中の行軍、すっかり不機嫌になる)

ベク君はサマルカンド外国語大学に在籍していた時、アルバイトで観光ガイドをしていた。市内の観光案内は任せてください、と胸を張る。朝8時半出発。村からサマルカンド市内まで小型バスで30分、一人500スム。
まずは、レギスタン広場に行く。ここがサマルカンド観光のハイライトである。15世紀に建てられたウルグベクのメドレセ(イスラム神学校)、17世紀に建造されたティラカリのメドレセ、およびシェルドルのメドレセと3つのモスク(写真)が広場に固まっている。レギスタンというから何か抵抗運動でもあったのかと思ったがレギスタンとはウズベク語で砂の上とかいう意味なのだそうだ。

まずモスクに行く前にレギスタン広場に隣接する歴史博物館に行く。サマルカンドはチムール帝国の首都であったが、紀元前600年ごろからソグド人のシルクロード中心都市として栄えていた。その後、アラブ人の都ともなっている。博物館では考古学的なものから衣装までサマルカンドの歴史を概観することができる。どのフロアにもタジク人らしいおばさんが、ミシンで内職をしながら監視をしている。子連れの人もいる。どこの博物館にもある古い棺には本物の骸骨がそのまま入っていて、さすがイスラム国だと思わせる。(イスラム教では遺骸や遺骨にほとんど関心を払わない)

たっぷり博物館を歩いたあと、レギスタン広場のメドレセへ向かう。メドレセごとに入り口で屋台のおばさんに拝観料として2000とか3000スム支払う。さらに内部で写真を撮るならあと2000スム寄こせという。けちなので即座に断る。大体、タシケントからサマルカンドまでのタクシー代が値切って7000スムだったのに、2,3のモスクを回るだけでその運賃を超えてしまうことにどうも納得がいかない。メドレセの中は青タイルで美しい幾何学模様の装飾が施されている。息を呑むような美しさ、という人もいるが好みによるだろう。ベク君がなぜ写真を撮らないのですか、誰も見ていませんよ、という。ベク君に起業に当たっては「正直」が重要な美徳だ、と教えただろう、撮影料を支払わなかった以上、日本人なら約束は守るのだ、と諭す。
メドレセは今は学校として使われてはいない。神学生が住んでいた部屋や教室はお土産物屋になっている。ウルグベクのメドレセでは、人に聞いていた通り、警官がミナレット(塔)に上らないかと持ちかけてきたので、3000スム支払って、工事中の階段を上り、ミナレットのてっぺんまで行く。階段の高さが30センチ以上あり、上るのに疲労困憊。眺めはすばらしかったが後々、筋肉痛に悩むこととなる。

ここから歩いて15分くらいのシャリヒンダ廟へ行く。この頃から急激に気温が上がりだす。昼前だったが40度は越えていたと思う。ベク君は短い時間にたくさんの名所を案内しようと、サマルカンド外国語大学、チムールの墓所であるグル・エミール-・モスレム、ウルグベク天文台などを次々に回る。午後になると気温は45度くらいにはなっていて、いくら水を飲んでものどは渇くし、頭痛がしてくる。

ウルグベク天文台から誰か昔の偉い学者のお墓に行く頃にはすっかり不機嫌になってしまった。10分くらいというのに20分以上歩き、それも川の流れる谷底に下っていくのだ。道は行き止まりですからバスや自動車は来ません、などという。何を説明されても「オー、リアリ?(ああ、そう)」しかいわなくなる。
手の露出している部分が日焼けしてきているので水でビショビショに濡らすのだが1,2分で乾いていく。特に風が吹くとまるでベンジンかアルコールを塗ったように肌がヒヤヒヤする。すごい乾燥度だ。チムール大王でさえ、夏には兵を動かさなかった、45度以上の炎天下をこんなに歩かせて、まったく配慮が足りない。これでは通訳としても問題だ、タシケントに帰ったらクビにしようとまで考えた。まったく人間ができていない。

日本で言ったら、青木昆陽だか平田篤胤のような人の墓所にきてみたら、階段を数十段上るようになっている。これをみて不機嫌の限界を超えてしまい、もう歩けない、帰る、と宣言する。大きなお棺なんですがねえ、とベク君は残念そうだがもうお棺やモスクなんかどうでもいい。

無言で来た道を歩いて引き返す。天文台前からバスターミナルまで白タク2500スムですが、というがもう金の問題ではない、バスターミナルから小型バスに乗り込んでもしゃべる気力がわかない。ようやく口が動くようになったのはベク君の家に着いて、冷たいスイカを10切れほど食べたあとだった。(続く)

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